2006.9.17

 『鍛える国語教室』空知ゼミ第9回例会報告

9月16日(金)6時30分,視聴覚室で「鍛える国語教室」研究会空知ゼミ第9回例会を実施しました。お忙しい中御参加戴いた皆様,心から感謝申し上げます。次回もお待ちしております。今回は20名で学び合うことができました。御参加戴いた皆様に,心から感謝申し上げます。今回も私以外に5名の先生が御参加くださいました。以下,授業概要です。

□柳谷直明の聴写の授業 

新しく刊行される『国語学力マスターカード』を使った聴写の授業を行った。書く速度が速くなると聴写ができるようになる。1年生には聴写は難しいが,参加していた1年生はできていた。

□矢田広和先生の俳句の授業 

「春の雲ゆっくり動く気持ちいい」の「気持ちいい」の下五字を創作させる授業だった。お忙しい中,授業開発される姿に頭が下がる。参加された皆さんも楽しまれていた。なかなかおもしろい下五字を皆さん発表されていた。

□柳谷直明の俳句の授業 

矢田先生の教材で授業せよ,と大谷先生から課題が出された。次の授業を考えながら授業を受けていた。こういう姿勢がよくない。授業を受けながら問題点を考えて代案を作っていなくてはいけない。いつもはそう心掛けているが,そうしていなかった。季語の問題点を指摘しようと考えて討論させた。「春の雲」が季語か。私の解は季語ではない。季語が季節を表す言葉ならば「春」だけでよいだろう。「『春』だけだと5文字にならないから。」こういう誤解をしている子もいた。角川春樹氏が言う。(角川春樹編『現代俳句歳時記 新年』角川春樹事務所,1997年,3ページ)「俳句にいのちを与えてくれるのは、季語である。季語こそ、普遍的ないのちであり、たましいであり、個性そのものである。私は季語こそ、俳句の魅力を支える最大の要因であろうと考えている。俳句作品の出来、不出来の七〇パーセントは、季語の用い方に負うといっても言い過ぎではないだろう。」ここまで言い切ってよいのかどうかわからない。しかし,季語が重要であることに違いない。広辞苑第五版には約3500の季語が掲載されている。「春の」では次の14の季語が載っていた。「春の色,春の海,春の限り,春の暮,春の月,春の鳥,春の野,春の日,春の星,春の水,春の湊,春の山,春の雪,春の夜」である。「春の雲」はなかった。広辞苑にないから季語ではないということにはならない。しかし,他にいくつかの本で調べたが「春の雲」はなかった。やはりここは「春」でよいだろう。私の授業は大谷和明先生の介入で終了した。ここまではっきりとした結論を持っていなかったので討論が冗長になったからである。 

□大谷和明先生の俳句の授業 

この人はいつ,どこで,何をしているのかというお話を作る。「この人は春に病院で手術をしている。」(1年生の子である。)「この人は春,野原でのんびりしていて雲を見ている。」お話に合った言葉を使うと俳句ができる。5文字選んでごらん。「春の雲ゆっくり動く腕時計」(冨樫先生作)というような下5字を皆さん創作した。韻文から散文にして,その中の語句を韻文に用いる。韻文の読解や創作に使える技術を具体的に学ぶことができた。更に続いた。このような俳句がある。「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」この俳句がなぜ有名か。人間には5つの感覚がある。五感という。見る−視覚,聞く-聴覚,味ー味覚,においー嗅覚,てざわり−触覚だ。この句にはいくつの人間の感覚を使っているか。視覚,聴覚,味覚,嗅覚,触覚の全てが出てくる。柿を食べているとき,遠くから法隆寺の鐘が聞こえてくる。いい句だね。

□冨樫忠浩先生の読点の授業 

「はなこさんにせんえんはらって。」このような文を提示して動作化で説明させた。意外に子供は読点の問題に気付かなかった。楽しい授業だった。話し方もゆったりしていて聞きやすい。欲を言えば,読点の原則を指導してほしい。いくつかの参考文献はあるだろうが,特に次の書を薦める。本多勝一『わかりやすい文章のために』(すずさわ書店,1981年)である。

□柳谷直明の作文の授業 

『作文マスターカード』を開発した。今回は『引用作文マスターカード』である。音読,視写,取材メモ,実作までを行った。最後の実作を3分間だけで書かせた。全員が3行以上を書いた。隣の人と発表させて終えた。楽しかったかどうかわからないが,全員に書く技術を指導した。3分間で3行書ければ低学年として適正な速度である。高学年ならば3分間で6行くらい書かせたい。中学年はその間なので3分間で5行に入ればよいだろう。今後,新作作文ワークをどんどん開発して皆さんに差し上げたい。

時間がなくなったので大谷和明先生の授業は次回のお楽しみとなった。