2006.9.17

 『鍛える国語教室』空知ゼミ第4回例会報告

6月3日(金)6時30分,視聴覚室で「鍛える国語教室」研究会空知ゼミ第4回例会を実施しました。今回は33名の方に御参加戴きました。楽しい国語の授業をしたい,受けたい先生,保護者,小学生の集いです。

柳谷直明(岩見沢市立美園小学校)の授業「インタビューの授業」2年生のマスターカード『インタビュー』を使って授業しました。音声言語の授業ではモデルを示すとよいのです。スピーチやインタビューのモデルは先生です。しかし誰もがモデルを示せるというものではありません。そこで開発したのがこの「マスターカード」です。トーク例を音読させます。その大体を覚えさせます。みんなの前で2人にさせます。同じように2人ずつにインタビューごっこをさせます。実際に問いを書かせます。わからない子には「好きな食べ物」でよいことを知らせます。練習のときには立たせましたが,2回目は立たせる必要がなかったです。お店屋さんとインタビューをする人に分かれてインタビューごっこをさせます。インタビューをする子には聴いたことをメモさせます。「これでインタビューができると思う子。」多くの子が手を挙げていました。10分でまとめられず,15分かかりました。実用的ですが,それほど楽しい授業ではなかったです。話術を鍛えたいものです。(本人)

矢田広和氏(由仁町立三川小学校)の授業「詩『トマト』の授業」「トマト/大久保テイ子/「あおいね」って/トマト/「あかいね」って/そら/「ひろいね」って/トマト/「まるいね」って/そら」1.「トマト」「そら」の後には文が省略されています。省略されている文を書きなさい。(トマトが,そらに言いました。等)2.「擬人法」「体言止め」の説明(「トマト」「そら」は果たして体言止めか要調査)3.前半部と後半部の内容の確認(前半部は色。後半部は有様,様相,特徴。)4.トマトではない赤いものに換えて詩を部分創作。(トマトイチゴ。「まるいね」「おししそうだね」「とがっているね」等)<反省(~_~)>1.10分で収まらず15分ほどかかってしまっいました。もっと削るが必要あります。2.後半部はダレてしまいました。煮詰めが甘いです。3.否定すべき点は明確に否定すべきです。曖昧さが入ったため,授業に淀みが生じました。子ども達と保護者の反応に鍛えられます。

「鍛国研の授業の方向性」1.学力形成が明確で,しかも硬派の授業であること/2.参加者が感心し,かつ楽しめる内容であること/3.日常実践をアレンジし1〜6年生全員が参加できること(本人)

1 自主発掘教材でしょうか。まずそこからすばらしいです。2 後半テンポが落ちたかんじがするのはなぜでしょうか。(大沼氏)

「韻文の散文化」は詩の読解では定石ですね。そのあと鑑賞文を書かせるか,詩の創作をさせるか,朗読させるかなどの発展が考えられますね。ややこしいとされる詩の授業に挑戦される姿勢に学びます。(柳谷)

大沼靖治氏(岩見沢市立岩見沢小学校)の授業「漢字文化の授業『東西南北』」「北」の字の成り立ちは『トークライン』で読んで知っていました。実際にライブを見ると,授業の流れや捌きがよく分かります。この漢字文化の授業は追試しようと以前から思っていたので,とても参考になりました。(矢田氏)

背が北からくることは『トークライン』にのっていました。原実践は初発問で「ひがし」の「ひ」は日火人の何かを問うています。ですから私の授業は修正追試です。直前まで考えていました。1年から6年までの子ども達を引き込むために「この絵は何ですか」(だっけ?)といって絵を描きました。木はすぐわかります。そのあとに後ろにかかる円を描きました。「これは何だ?」お日様と木の枝がでました。子ども達を引きつけるという意味で初発問を変えたのですがどうでしたか。そのあと,「これからできた漢字があります」で「ええ?」という雰囲気になったように思います。漢字文化の授業は初めてだったのでしょうか。お嬢様お一人が「東です」と答えましたね。ちょっぴり誇らしげでうれしくなりました。その後西で挙手指名,南で挙手指名,北で全員起立と,指名の仕方に変化をつけたのですがどうでしたか。最後は東西南北という読み方で終わりました。原実践はこのあと東西南北を使った漢字クイズにすすみます。(大沼氏)

大沼さんの授業が大谷さんの授業の次に勉強になりました。大沼さんの授業が終わったとき,大谷さんは手を目線まで上げて拍手していました。表情がいつもの大沼さんでした。ほんと,いいですね,大沼さんの授業表情。語りも無駄がありませんでした。勉強になります。(柳谷)

大谷和明氏(札幌市立もみじ台南小学校)の授業「『うとてとこ』の追試」私自身2回追試して知ったつもりになっていました。しかし,「うとうとうとうと」「てとてとてとてと」の読み方を適当にやっていたことを知りました。「とをたたく」の解に拘る必要はないのですね。なるほどと思いました。次回,「うとてとこ」を追試するときは大谷さんの授業を追試してみます。(矢田氏)

大谷さんの「授業ライブ」をみられることがこのゼミの醍醐味の一つです。前にも思ったのですが,間,声の抑揚,視線,言葉が……ううんうまく言えないなですね。何と言いましょうか。連続していて,音楽というか,落語というか。ううん,まあ,とにかく引き込まれるようでした。そうそう,かつてみた野口先生のそれです。指示したことのはしばしに学習訓練をさりげなく促す評価がありました。たとえ1年生であっても,「まあ1年生だから」という妥協がありませんでした。これはすごいとおもいました。(前回もそうです)子ども達には真剣にあたるのですね。1年生に「読み」を何度も促し,正解だとつたえるあたりに「スイッチョ」を思い出しました。『うとてとこ』の私の我流が5つわかりました。(大沼氏)

私の追試では「動き」を入れるというところが全くありませんでした。そこで3年生は鳥の真似をしていました。一つ一つを指差す動きが面白いです。やはり楽しい表情の先生がよいですね。野口先生の原実践を再読します。有難うございました。(柳谷)

中島主税氏(深川市立深川小学校)の授業「平仮名」知的でおもしろかったです。たくさん問題が出て面食らった子がいたようです。最初はスモールステップで1,2問出してそのあと5問くらい難しいのを出すと効果的だと思います。(大沼氏)

平仮名の基となった漢字を書かせます。10問で多かったのですが,子供はそれなりに挑戦していました。「仁,不,末,天,与,毛,和,礼,幾,川」でした。調べてみると『増補改訂 日本文学大辞典6』(新潮社,昭和26年)に「平仮名書体および字源表」がありました。それを見ると「川」が「つ」であることがよくわかります。その後中島先生の名前を漢字で探させました。更に平仮名の字源となった漢字を使って自分の名前を書かせるところが,とても楽しかったです。「濁点」がいつ頃から慣習化されたのかとか,万葉仮名から平仮名へ変化した文字としなかった文字の違いは何かなどを疑問に思いました。(柳谷)

以下,授業者の感想です。

やはり,子ども達と保護者の生の反応は,それだけで鍛えられますな(^_^;)。初参加の主税さんには,その実感を共有できたことでしょう。国語の授業は,やはり面白いです。お陰様で,私の娘と息子も,柳谷さんや主税さんの授業も含め,今回も楽しく学習できていました。次回も参加すると張り切っております。(矢田氏)

子ども達相手に授業できるのがうれしくトークライン片手に直前まで発問も固まっていなかった「練習ゼロいきあたりばったり」授業をしてしまいました。柳谷さん,模擬授業にまにあいませんでした。(大谷さんのスピーチは爆笑ものでしたが)(大沼氏)

空知ゼミ初参加させていただき有り難うございました。行ってみてビックリ。この年齢層の広さでは,……と躊躇しつつも挑戦しました。無駄が多すぎる授業になりました。中島が行ったのは,ひらがなが漢字から作られたということの授業です。結果は,さんざんたるものでした。次回はもう少しましな授業を行います。(中島氏)

今回はテストの答え方を完成し切れなかったのでインタビューにしました。使った教材が私の「マスターカード」です。あのような「マスターカード」がたくさんあるので「マスターカード」を使った授業を続けます。問題は大谷さんの仰る「話術」をどう磨くかです。「落差」を意図的に技術として磨きます。楽しい国語の授業を目指して,更に努力します。あと3回で夏休みです。早いものです。宿題だった「体言止め」を調べてみました。言葉の知識をきちんと説明している本はないといってよいくらいです。和歌の修辞として体言止めがありました。和歌では体言止めが使われているということです。イチゴの詩が体言止めかどうかはわかりません。それより授業のネタ,発見! これで知的で楽しい授業ができます。すごく得した気分です。次回,授業します。(柳谷)