2007.5.19
『鍛える国語教室』空知ゼミ第34回例会報告
昨夜は岩見沢市立美園小学校で,空知ゼミ例会が行われました。参加戴いた皆さん,有難うございました。
教員5名,保護者4名,子ども13名の22名で学び合いました。いつもながら,子どもの参加が有難いです。
1 釜谷いずみ氏の『読解力マスターカード』の授業
『読解力マスターカード』は読解と創作になってもかまわないと私は思います。
音読用にするならば,著作権切れの俳句や短歌をどのように読むかを教材として書けばよいのです。
例えば1枚目では上の文学をどのように読むかという設問で学習用語を指導します。(私の教材の学習用語と重複するのはいっこうに構わないのです。一つ一つのマスターカードで独立しているからです。更に重要な学習用語は何度も指導する必要があるからです。)
2枚目では,教科書教材を音読する評価カードのようにするという方法も有ります。ただし,よくある音読カードのように家庭でさせるのでは有りません。あくまでも授業で,友達や先生に評価して貰うというものです。学習用語で評価させるのです。これも一例です。
読解力を鍛えるための学習用語が何なのか。それを私の本などを参考にして,厳選して下さい。その学習用語を指導するために必要な言語活動をマスターカードでさせるのです。完成版を1本作りましょう。
2 柳谷直明の『インタビュー』指導
『国語学力マスターカード 3年生用』の『インタビュー』教材を使った授業です。
5月16日に教育実習事前指導をしている学生が23名参観に来ます。そこで行う授業を行ってみました。言語活動の定型を指導しました。低学年では定型指導はしていませんでした。しかし,3年生からは抽象言語としての定型を覚えさせ,その型に具体的言語を載せさせていきたいものです。
定型指導は語彙を増やす意味でも行ってもよいでしょう。ただし,定型だけを絶対視させないという指導も必要です。
技術は視線,音量,速度の3つにしました。16日の授業では,これを最後にマスターカードの4枚目で評価させます。
話題は授業中の思い付きで中央バス会社にしました。16日の授業,福岡の授業では,相手にお店屋さんになって貰った授業を行います。授業参観の学生にもお店屋さんになって貰います。盛り上がるでしょう。
3 柳谷直明の『読解力マスターカード』
家庭訪問で5時30分に学校へ戻り,例会前の30分くらいで1枚を書きました。家庭訪問週間は多忙な毎日だったので,教材準備の時間を取れませんでした。
音読は何年生用の教材を担当していたか忘れたので,とりあえず2年生用を書きました。
1枚目はあれで完成版です。後からブリーフケースにアップします。2枚目は書いていません。
2枚目は1枚目にしつこく指導した音読の学習用語を更に設問で問います。「題名はどのように読むか。」このようにです。そして,こうします。
「題名を上手に読む。隣の子に聞いて頂戴と言う。上手だと言われたら○を塗る。」
こうして少しずつ音読の学習用語を行為化させるのです。
4 冨樫忠浩氏の詩の鑑賞指導
村野四郎『鹿』の授業でした。
鹿 鹿は 森のはずれの
夕日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼は すんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家である
大きい森の夜を背景にして
教材開発,お疲れ様でした。新しい教材に出合い,勉強になりました。論破で詩を深く考えることができました。向上的変容の保障です。
教材論としては,もっと自力で詩を読んだ方がよいでしょう。
自分の考え,主題をもっと決めてから,先行研究に当たるべきです。
例えば私の主題解読法で読むとこうなります。
「小さい額が狙われている」−死の恐怖
「黄金のように光る」−生の輝き
「どうすることが出来ただろう」−運命
「森のはずれ」−棲家ではない場所
「じっと立っていた」−不動
「すんなり立って」−達観
これらから必要な抽象語を拾って一文にします。例えばこうです。
生死を超えた達観が生の輝きである。
5 大谷和明氏の語彙指導
「時雨」という語からどんどん語彙を増やす指導でした。ここでは詳しく書きませんが,大変知的な授業でした。先行実践があるそうです。
今回は宮下さんも参加して下さいました。有難うございます。よければまた,参加して下さいね。そしていつかは,授業をして下さい。10分間くらいの授業で自身の言語技術を磨きましょう。
終了後は,いつもの『かわ兆』へ。釜谷さんの雑誌原稿検討,近況報告などを行いました。