2006.11.3

 『鍛える国語教室』空知ゼミ第28回例会報告

 2006年11月2日(木)第28回鍛国研空知ゼミ例会を行った。
 お子様11名,保護者3名,教諭8名の22名で学び合った。(御参加戴いた皆様に,心から感謝申し上げます。昨日も有意義な学習会を行うことが出来ました。)
 以下,概要報告である。

 1 インタビューの授業(柳谷直明)
 『確かな国語学力を育てるマスターカード 5年生用』の「インタビュー」で授業した。2枚目の全員音読,1人音読,学習用語指導,2人練習で褒め合う,右ページで2人練習,相手に自分が調査したい職業になって貰いメモ無しでインタビューする。10分間くらいで終了する。

 2 作文力マスターカードの授業(冨樫忠浩氏)
 
15分くらいで全員に作文を書かせて発表させる。洗練されてきた。『作文力マスターカード』授業の典型と言える。強いて言えば,全員音読の際,教師の読みの速度がやや遅い。教師が一緒に音読するのは,一緒に音読する必要があるからである。子どもだけでは音読できないから教師が一緒に音読する。したがって,子どもの音読を微妙に引っ張る速度がほしい。何も,速く読むというわけではない。子どもの音読の常に少し先を行く速度である。物語を読む際の音読速度と説明文を読む際の音読速度は違う。たぶん冨樫学級の子どもの音読速度は全体的に遅いのだろう。その速度に冨樫氏が慣れてしまったのだろう。私には違和感が残った。さらに言うと,取材メモでの設問を読んでいない。設問を読み,学習用語を指導するとラベル欄に書く言葉がわかる。すると,それをいちいち口頭で言わなくてもよい。今回も言ってはいなかったが,初めて書く方はよくわからないだろう。さらに,ラベル欄のいくつか,ブランチ欄のいくつかを板書すると,子どもはそれは見て書くこともできる。前回より時短化された。2月の国語修業講(旭川会場)での模擬授業が楽しみである。

 3 要約指導(成瀬聡氏)
 
今回は全文要約の授業化である。説明文を体言止めで要約する授業である。文字数制限が無いので,私は冗長に要約した。今回で要約指導を終了すると言っていた。次回からは,何が登場するか楽しみである。10分間くらいで終了した。

 4 PR作文指導(太田等氏)
 
別海の太田氏が参加された。PRスピーチ例の音読,メモとの比較,そしてメモ,作文の記述である。スピーチ指導では原稿を書かせない。だから,スピーチ指導として原稿用紙に書かせるのではないだろう。しかし,PR作文から作文指導に持って行く方法である。何も見ないでスピーチを行い,そのスピーチの通りの作文例を配るとみんなが驚いておもしろいなと思った。別海という広大な地域は,大いにPRして貰いたい。そらちゼミ例会での初授業だった。2月の授業講(旭川会場)では,『国語学力を育てるマスターカード』での授業を行って貰う。

 5 三段論法の作文授業(矢田広和氏)

 三段論法を指導した。それで作文させた。きちんと意味が通じるかを全員の拍手で評価させた。おもしろい作文授業である。大谷氏はA=B,B=C,よってA=Cの形を代案として授業された。矢田氏はA=B,C=A,よってC=Bの展開だったからである。
いくつかの型がある。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』にはこうある。「三段論法(さんだんろんぽう ギリシア語 syllogismos)は、「大前提」に法則的に導き出される一般的な原理を置き、「小前提」に目前の具体的な事実を置き、「結論」にそこから導き出される答えを置いた「大前提」「小前提」「結論」の三つの命題から成る推論規則である。アリストテレスによって整備された。以下に三段論法の例を示す。大前提:すべての人間は死すべきものである。小前提:ソクラテスは人間である。結論: ゆえにソクラテスは死すべきものである。」論理的思考を鍛える授業として考えてみたい分野である。

 6 詩歌マスターカード(釜谷いずみ氏)
 体言止めを指導するマスターカードを完成させた。文末を削除して体言止めを指導する教材である。「AをBに書き換えました。どこをどうしたのでしょうか。」このような設問で,散文と詩の違いを確かめさせた方がよいか。そして,左には散文を書いておき,それを体言止めにする練習をする。2枚目でメモ,散文の下書き,体言止めの清書を右左のページで2回させるのがよいか。上段がメモと下書き原稿用紙,下段はただの原稿用紙にする。このような教材開発に私も取り組みたい。教材開発の努力に感謝する。1月の私の模擬授業では,直喩と隠喩のマスターカードがほしい。例は『私の家族』とする。文例Aは散文で,文例Bは直喩の詩にする。文例C,D(いずれも散文)を左ページの上下段に書き,それを直喩の詩にさせる。2枚目の本番でメモ,散文,詩として書かせる。2枚は同一の形式になるが,仕方がないだろう。隠喩マスターカードは文例Aは直喩の詩で,文例Bは隠喩の詩にする。倒置マスターカードでは,直喩マスターカードの文例Bを倒置にさせる。擬人法マスターカードでは,当たり前の散文を擬人法に書き換えさせる。疑物法マスターカードでは,家族を物に喩えさせる。これらはおもしろい教材になる。釜谷さんの授業で久しぶりに発想が豊かになった。 

 7 市販テストの答え方(柳谷直明)
 問い,ヒント,答えを読ませる授業を行った。これは第8回国語修業講(旭川会場)で公開する。

 8 語彙指導(大谷和明氏)
 釜谷氏の教材から,他の体言止めを作る授業を行った。全ての行尾を「猫」で終える書き換えである。書き換えはおもしろい。書き換えをどんどんさせて,表現力を鍛えていきたい。さらに,『大きなかぶ』での「甘い」と「大きな」の違いを授業化した。科学的冷徹読みを披露した。

 終了後,8人で『かわ兆』へ行った。文学教材の読みをどこまでさせるかという議論になった。もちろん書かれていない範囲も読ませるが,作者をどう扱うかという議論である。作者が言いたいところまで推測し,その上で指導者としてどこまで授業で扱うかを考え続けたい。

 次回は11月17日(金)に行う。多くの皆様と一緒に学び合いたい。