2006.9.17

 『鍛える国語教室』空知ゼミ第26回例会報告

 2006年10月6日(金)第26回鍛国研空知ゼミ例会を行った。

 お子様10名,保護者2名,教諭7名の19名で学び合った。(御参加戴いた皆様に,心から感謝申し上げます。昨日も有意義な学習会を行うことが出来ました。)
 次の内容である。

 1 冨樫忠浩氏の論破の授業

 『もちもちの木』の読み聞かせを行った。絵本をきちんと開いて,見やすく,聞きやすい読み聞かせだった。何度か躓いていたが。問題は時間である。10分間の授業なので,全文の読み聞かせは長い。「せっちん」の伏線と山場だけでよいだろ。さらに,最後のじいさんのせりふを使わなかったのが惜しかった。じいさんのせりふで授業を終えると締まったかもしれない。

 『プランくん』は私の形式ではなかったので,使い難かった。「引用」は重要なので,短い引用であっても一つのブロックを使った方がよい。それと課題が一つになっているのは書くのが苦しい。まずは私の『プランくん』をそのまま使った方がよいと考えながら授業を受けていた。その上で修正するのはよいだろう。あれは数ヶ月の修正の上で生まれた形である。

 引用の価値が私にはわからなかった。したがって,課題の価値もわからない。もっとも価値ある引用から,もっとも価値ある課題を与えたい。「本当に木が燃えているのか。」こう問われたら,燃えていないとしか言いようが無い。仮に引用を百歩譲ったとする。すると課題はこうだろう。「なぜ,木が燃えているのか。」野口流は「なぜ」である。「なぜ」と問うと,「燃えている」というのが前提となる。本当は燃えていない。しかし,燃えていると書いてある。なぜ,燃えていると書いてあるのかという思考になる。そこに主人公の心情が象徴されているのかもしれない。そうか,主人公の勇気がそのように見せたのか。このように落ちつくだろう。私もそうだが,もっと純粋に野口流を追究した方がよいだろう。

 ○×の分布も,野口先生はきちんと数える。それは全員参加を保障する授業技法である。野口流授業技法をいつか私は書くだろう。この『プランくん』を使った論破は,その格好の授業である。

 2 柳谷直明の代案授業

 冨樫氏の授業の代案を提示した。引用,「はしった」。どんどん書く。いちいち指示するのが嫌いである。私自身がいちいち指図されるのが嫌いだからである。したがって,『プランくん』に書いてある通りに進めればよい。初めての方には不親切に感じられるだろう。しかし,「先に進む。」というよう指示の暗示で授業を行いたい。書いていない子もいるので,少し遅れて課題を言う。「なぜ,走ったのか」自分の考えを書く。かるちゃん起立。読む。横のブランチ欄にかるちゃんと書く。「子どもだから走ったのです。」そのまま書く。次のブランチ欄に○か×かを書く。まだ書かない人。さっさと書く。定番である。○3人。×多。これは「多」では本当はよくない。きちんと全員が参加しているかどうかを確認すべきだ。これで論破させた。私の授業は私の鍛えられている子ども達のおかげで成立しているかもしれないなと論破を見ていて思った。一般の先生方が対象なら,ここまで意見を言わないからである。しかし,ここでは「助けたいから」という当たり前な意見をも論破させたい。「怖い。しかし,助けたいから。」という葛藤を捕らえている意見を正解とする。先生はおっしゃった。×に決まっている。子どもだからなんて話にならない。こんな結論を言った。しかしここでは,「怖いけど,助けたいから走った。」という正解をきちんと言った方がよかった。文句あっかな。

 3 柳谷直明の読解力マスターカード

 場面読み,心情読みを教材化した。電気を少し消した。怖い話を教材にした。話し自体は私の創作なので,よくなかっただろう。それは措き,書かれてあることを書き抜く教材(表層義を問う教材)と書かれていないことを書かせる教材(深層義を問う教材)の典型である。2月の修業講に向けた授業である。

 4 柳谷直明の「話すこと・聞くこと」授業マニュアルの授業

 あのような新しいマスターカードを使った授業をマニュアル化する。誰でも「話すこと・聞くこと」の授業ができるマニュアルを作成する。国語授業のスタンダード化である。1月の修業講へ向けた授業である。楽しかっただろう。聴取方法を指導する。スピーチ方法を指導する。2人論破を楽しませる。昨日は聴取取るピーチと2人論破を一つにしたが,2人論破は別教材にした方がよいだろう。新たな教材の可能性を学んだ。聴取+スピーチで1教材,スピーチ+論破で1教材にする。聴取+スピーチは理解と表現の一体化でよいが,スピーチ+論破はやや活動の規模の問題がある。スピーチ+評価とか,主張+論破などの教材にした方がよい。それと学習用語指導が無かった。きちんと学習用語を明示しなくてはいけない。活動主義に授業に陥っている。

 5 成瀬聡氏の要約の授業

 説明文の問いと答えを指導した。そして,2つの段落を30字で要約させていた。その際,名詞止めを学習用語として指導した。きちんと学習用語を指導していてよい。次回は字数を少なくする授業を行うそうである。時間も短く,まとまっていた。

 6 大谷和明氏の題名を工夫させる授業

 題名の工夫は野口主宰も必要性を書いていらっしゃる。『鍛える国語教室』にある。具体的な言語から抽象的な言語に名詞を変えて,形容詞を考えさせる授業である。これまで見たことの無い授業でおもしろかった。私や冨樫氏の意見を削除して盛り上げる技は絶妙である。巧みな話術に盛り上がった。例えば「大きな」は連体詞なので含めるかどうか。形容詞,形容動詞,連体詞の違いが難しい。

 

 終了後は懇親会で盛り上がった。授業検討,学級経営の話,野口流国語の話など楽しいひと時を過ごした。

 次回は6月20日である。6時30分から美園小で行う。皆様の御参加をお待ちしている。