2006.6.17
『鍛える国語教室』空知ゼミ第21回例会報告
昨夜空知ゼミ例会を24名で行いました。教員3名,保護者3名,子ども18名でした。3歳から6年生までと幅広い年齢層です。実に鍛えられます。私にとって至福のひとときです。
1 柳谷先生の俳句教室
前回書いた俳句で句会を行いました。子どもの部の特選は次の2句でした。
キラキラとかがやく星が夏のよさ
夏の月見てみたいのに雨でむり
大人の部の特選は次の句でした。
初夏の朝ヨサコイおどる子供達
今回は15分間くらいかかりました。次回は10分間くらいに短縮します。これはお遊びのようなものなので,これだけで私の模擬授業が終わると悲しいです。やりたい授業はたくさんあるので,授業者は10分間完結型を目指しましょう。
句作にも時間がかかりました。全員が1句を書くのに15分間くらいかかりました。もっと短い時間で追い込まなくてはいけないですね。
一定時間の中で作業量を増やすのも学力を高めることになります。教師も同様です。
今回の句は次の通りです。
子どもの部(5句選ぶ)
夏木立きれいな風がきもちいよ
あめんぼだうごきがはやいたしかにね
うちわもつパタパタあおぐきもちいな
みみずがねはたけのなかにいっぱいだ
夏めく夜キラキラひかるほしがある
すずしいなかぜにゆれてくこいのぼり
青蛙元気いっぱい出てくるよ
なつのよるかわでげろげろあおがえる
青蛙ゲロゲロないた川の中
かっこうがないているよねとおくまで
かぜかおるあさのひざしがあたたかい
なつの夜ふとももやけどねずみ花火
初夏になりいきたい場所にいってくる
なつかぜがそよそよゆれるつきのよる
あつすぎてキャンプがいいななつの月
暑さ増すだけどやめない部活動
大人の部(2句選ぶ)
かたつむり社会見学雨模様
青蛙ゲロゲロ鳴くよ腹すいた
紫陽花の白さに笑顔散歩道
青蛙こだます声や夜も深く
紫陽花よ何しているの山の道
みみずとりぬるぬるしててつかめない
次回はこれで句会を行います。今回は全員で音読したので時間がかかったのでしょう。次回は私が一人で音読します。すると1分間程度で終わります。2分間で選句させます。3分間で人数を問います。発表を3分間にして9分間で終了を目指します。
句作も10分間で終えたいですね。1分間で今回の作品の問題点と私の句の意図を発表します。一つの作り方です。季重なりが問題点ですね。毎回,私の句に一つの工夫を入れて書きます。それを参考に自作句のレベルアップを目指しましょう。
季語選択を1分間で止めさせます。ここに時間をかけないのです。ぱっと決めるのです。季語を5音か7音にさせます。そして他の5音,7音をたくさん書きます。ここに時間がかかりますね。でも3分間で止めさせます。これで5分間です。残りの5分間で上五,中七,下五を組み合わさせます。
これが1年生でも俳句が作れる指導法です。次号,夏号に実践を書きます。
2 冨樫先生の『読解力マスターカード』の指導
まど・みちおの詩を使った授業でした。
大きいか小さいかの発問はやや気になりました。比較する対象が示されていないからです。でも,そんな捻くれた考えをしなくてよいのかなと思いながら授業を受けました。これが必要な発問なのかどうかも検討する必要がありますね。それよりも「ころ」を問う発問がほしいと思います。子どもに同音異義を指導する場面が多く必要だと思っています。
それからベーシックですが,連・繰り返しなどの技法,主題を問わなくてよいのかと思いました。つまり,多くの詩の読解に共通する学習用語とこの詩特有の学習用語があります。多くの詩に共通する学習用語は1枚目で読ませる。音読も含めてです。それはこの学習会に参加している子ども達には不要です。しかし,多くの子ども達には必要です。だから1枚目の基礎編が必要なのです。そして2枚目ではこの詩特有の学習用語を読ませる必要があるでしょう。または1枚目からこの詩特有の学習用語をいくつか解説を入れながら問う。2枚目ではその解説無しで学習用語で問う。野口先生の原型です。
釜谷さんにも言いましたが,マスターカードを2枚に分けるのには意味があるのです。
朝の発問もなかなか面白いものでした。しかし,あれだけかという心残りがあります。やはり,2枚に分けて発問を重層的に組み立てる努力をしましょう。
鍛えるの最近号に書きましたが,学習用語を使った発問を段階的に考えましょう。
A 学習用語を指導,定義する発問
B 学習用語を評価する発問(学習用語を問う発問)
C 学習用語を安定的に行為化させる発問(学習用語を指示する発問)
野口先生の発問はA+Cの発問,Bの発問とに分類することができます。
私の本に書いてありますが,指導する話題もその時間の学習用語になります。国語科の学習用語と教材での学習用語になるのです。(^^)v
授業の進め方,無駄のない発問は見事です。私より授業が上手になってきました。身近にライバル出現といった感じです。冨樫先生のように直向に努力を重ねる先生は上達するという典型を見せてくれています。有難うございます。
3 矢田先生の説明文指導
TOSSの実践だと思います。面白い授業でした。
マンガの顔を文章を書かせます。その際に読んでいた文章を説明文と称していたと思います。
今度は自分でマンガの顔を描かせます。それを描かせる文章を書かせるのです。
作文を読んで,他者にマンガを描かせます。そして,作者はどんなマンガを想定していたかを発表します。
子ども達は喜んで取り組んでいました。
教師修業の会なので,問題点をあえて書きます。
1 同じ発問を繰り返していました。多くの発問を2回言っていました。子ども達には1回で話を聞かせる訓練をする必要があります。したがって発問の繰り返しには感心しません。先日授業させた学生は発問を最大8回繰り返していました。
2 参考文献を持ちながら授業していました。市毛勝雄先生が教科書すら持つなと道研の講座でおっしゃっていたのを思い出しました。教科書の赤刷りを持ったり,参考文献を持ったりして行う授業は避けたいものです。私も酒井式の本を持ちながら図工の授業をしているので反省しました。
3 あれは説明文かという問題があります。あの文章は『鍛える国語教室』で最近話題になっている説明書き(渋谷先生)・指令の文章(宇佐美先生)の類だと思います。私にもよくわかりません。『教育科学・国語教育』8月号の脚注でもそのことに触れました。
4 説明文を書くための学習用語は何かを明示する必要があります。学習用語を明示しない限り国語科授業は変わりません。
4 柳谷先生の説明文の読解指導
説明文の学習用語を指導し,行為化させました。3つです。『アーチ橋』を読ませました。あれで弘前の授業はほぼ完成です。御批評戴けると有難いです。
今回も御参加戴いた皆様に,心から感謝申し上げます。次回は7月7日(金)です。お待ちしております。
次回私は夏休みに向けて,読書感想文指導を行います。読書感想文指導を10分間で行うというのがかなり苦しいのですが,挑戦します。時間があれば視写・聴写で書く速度を鍛えます。もちろん句会,句作の連続講座も続けます。
授業を希望される先生は10分間完結型を目指してください。伸びても15分間程度にしてください。よろしくお願いします。