2006.9.17

 『鍛える国語教室』空知ゼミ第15回例会報告

12月16日(金)6時30分,視聴覚室で「鍛える国語教室」研究会空知ゼミ第15回例会を実施した。今回は20名で学び合うことができた。お忙しい中御参加戴いた皆様に心から感謝申し上げたい。次回も是非,いらっしゃって戴きたい。

教師が授業の腕を磨くために行っている会である。そこで,お子様や保護者の方へ授業をさせて戴けるのは有難いことである。お子様だけの参加でもかまわない。しかし,できれば保護者も御参加戴き,家庭教育の参考にして戴けると有難い。第15回例会の授業概要は以下の通りだった。

□報告スピーチ(柳谷直明) 「マスターカード」を配る。音読,さんはい。このくらいの長さを50秒くらいで話すのがよい速度だ。みんなの話す速度を計る。50秒より速いか遅いか。自分の話し方が速いか遅いか。全員起立。読み終わったら座る。始め。速いね。なぜ速いのか。皆さんの話し方には間が少ない。(間だけを板書した。学習用語としては速度も板書すべきだ。)みんなの方を向いて,礼をする。そして間を2秒くらい空けて,「みなさん」と始める。ところどころ間を空けて読んでみる。全員起立。始め。〇〇さんが一番50秒に近かった。裏。生活科や総合的な学習で「インタビュー」をしたことがある子。あるよね。そこで学んだことをみんなに報告するとよい。今日は先生が勝手に決める。いつに12月16日と書く。どこに美園小学校と書く。何に「クリスマス・プレゼントに何をほしいか。」と書く。ええ! 何にするかなあ。反応がおもしろい。隣の子とジャンケンする。勝った子から「何がほしいか」とインタビューする。負けたこは教える。教えてもらった子はメモする。始め。この指示はややこしい。友達インタビューをさせるなら,ここをすっきりさせる必要がある。誰かにさせてから,全員にさせるとよいだろう。終わったところはスピーチの練習をしている。ではさっきのようにスピーチをする。メモを見ながらでよい。何かこの辺りでぐちゃぐちゃだった。個人練習,ペア練習,グループ練習,発表という段階をふませなくてはいけない。何人かに発表させて,ペアで発表させた。最後にさらに何人かに発表させた。みんなよくできていた。6年生のスピーチはさすがにおもしろかった。

□読解力マスターカードの授業(釜谷いずみ氏) 今週の火曜日に授業公開を打診し,金曜日の1時間目に授業公開をしてくれた。『読解力マスターカード』を開発し,それを使った授業だ。(この教材の詳細は『教育科学・国語教育』2月号に書いた。御覧戴きたい。来年度には本にしたい。)春に私が作成した「マスターカード」を参考に自作してくれたようである。1時間で読解指導を行い,授業作文を書かせる見事な授業だった。1分間視写で70文字を書いた子がいた。授業が終わっても誰一人立とうとせずに,黙々と作文を書いていた。まさに子供が熱中する授業だった。最近始まった美園ゼミとして3回目の研究授業だった。1回目は私が3年生の学級で飛び込み授業を行った。『ソメコとオニ』で授業作文を書かせる授業である。2回目は冨樫忠浩氏の授業作文を書かせる授業だった。釜谷氏が書いた教材で私や冨樫氏が授業した。教材を開発し,それを実際に授業で検証し,さらに修正を加えている。毎日が例会のような楽しい昨今だ。釜谷氏には公開授業の授業の導入だけをゼミ例会でやってもらった。進んで授業をしてくれた。余計な言葉が少ない。堂々と授業している。学習用語をきちんと上手に指導している。学ぶことが多い。

□インタビュー(冨樫忠浩氏) 「マスターカード」を配る。音読する。学習用語を板書する。「相槌,頷き」である。ペアで活動させて,学習用語ができていたかどうかを評価する。何組かを前に出して,活動させた。とにかく1年生は楽しいらしい。ソメコではないが,キャッキャキャッキャ言って喜んでいた。「インタビュー」の授業は盛り上がる。授業の組み立てもよくできていた。余計な言葉も少なくなった。子供が熱中する授業である。これか対話を2月の修業講で行おうと考えているようだ。「インタビュー」は修業講で私が何度か行っている教材である。だから何回も参加されている方にはまたかと思われるかもしれない。何回も参加されている方がそう多いわけではないので,問題ないかもしれない。さらに私の「インタビュー」の授業より冨樫氏の授業の方が盛り上がるので,さらに問題は無いかも知れない。とにかく私が音声言語の授業開発で最初に取り組んでいたのが「インタビュー」である。「パネル・ディスカッション」も最初の頃に取り組んだ教材だが,「インタビュー」の方が実用的なので実践は多い。「『〈学習用語のカテゴリー化〉で〈国語学力〉を育てる』(柳谷直明著,明治図書,2004年3月)でも「インタビュー」の実践で書いた。あの授業は冨樫氏の授業と比較して,全く楽しくない。あの頃は学習用語の解明だけに集中していて,楽しさを求めていなかった。冨樫氏の授業は楽しい。2月6日が楽しみだ。

□子供が熱中する作文マスターカード(柳谷直明) 作文マスターカードを配る。高学年用である。四角1音読,さんはい。四角2音読,さんはい。常体は「だ,である」で終わる文体だ。低学年は「です・ます」で書いてよいが,高学年は「です・ます」を使わない。文体という言葉を覚えたら,四角にチェックを入れる。このように学習用語を覚えたら,四角にチェックを入れさせる。四角3,四角4も設問を読むだけで子供が活動する。そのような教材である。授業マニュアルとしても使えるマスターカードである。さあ,いよいよ視写だ。四角5音読,さんはい。始め。1分間視写すると書いてあるので,始めだけで始まる。止め。2行書けたら高学年並みだ。本当は3回するが,2回でやめた。ゼミ例会に参加している皆様は視写が速い。ラベル欄に引用と書く。これから先生が言うことをブランチ欄にメモする。「今年,一番楽しかったことは何か。」次のラベル欄に「一番楽しかったこと」と書く。そしてブランチ欄に楽しかったことを詳しく書く。始め。どんどん狭くするんですか。どんどん詳しくするんですか。このようなことを私の学級の1年生が話しながら書いていた。3分間で作文する。メモに書いていることや書いていないことをどんどん書く。始め。1年生が3分間で8行書いていた。高学年も可能である。

□擬声語・擬態語(柳谷直明)コオロギの鳴き声をノートに書いて持ってくる。板書する。板書した声を読む。なぜ,このように違うのか。同じ音でも聞いている人が違うからである。私の学級の1年生が答えていた。チャイムの音をノートに書く。書いたら起立。全員にチャイムのように音読させた。聴いている私は楽しかったが,読んでいるみなさんは楽しかっただろうか。このような聞こえる音の言葉を擬声語という。目の前に愛している人が現れました。いません。いたとする。そのときのあなたの心臓の音をノートに書く。板書する。板書を読む。心臓の音は聞こえるか。聞こえない。自分には聞こえるが,隣の人は聞こえない。このように聞こえない音を擬態語という。ころころ転がる。のころころは。擬態語。風船がパーンと割れるのがパーンは。擬声語。このように習熟練習をさせて終えた。楽しいかどうかわからないが,教える必要はある。

□音読指導(大谷和明氏) TOSSインターネットランドを使ったものすごく楽しい授業だった。大谷氏は寅さんの科白や『雨ニモマケズ』を暗唱していた。私も『雨ニモマケズ』を学級の子供と暗唱したことがあるが,部分的に忘れていた。ときどき読まなくてはいけない。私の学級の1年生が『雨ニモマケズ』をほとんど暗唱していた。驚いた。27日の子どもTOSSデー用に奈井江小学校からスマートボードを送って戴いた。美園小学校初のスマートボード体験である。岩見沢市内では岩見沢小学校とメープル小学校にあるそうだ。都道府県を学習するサイトとか暗唱のサイトで楽しく学べた。私の1年生にTOSSインターネットランドを授業で紹介した。

これで今年の空知ゼミ例会を終えた。今年からゼミ例会を始めたお蔭で毎週教材開発に追われた。それだけに勉強になる有難い年だった。お付き合い戴いた皆様に心から感謝申し上げたい。

来年も御参加をお待ちしている。来年はさらに空知ゼミの運動を拡大したい。