2006.9.17

 『鍛える国語教室』空知ゼミ第11回例会報告

10月22日(金)6時30分,視聴覚室で「鍛える国語教室」研究会空知ゼミ第11回例会を実施した。今回は21名で学び合うことができた。お忙しい中御参加戴いた皆様に心から感謝申し上げたい。次回も是非,御参加戴きたい。

この学習会は私達教師が授業の腕を磨くために行っている会である。そこへお子様や保護者の方に多く御参加戴いている。授業の腕を磨くために行っている会なので,お子様や保護者の方へ授業をさせて戴けるのは有難い。

私は1年生以外に授業ができるので,実に勉強になる。今回は6年生用の教材を2本扱った。6年生を担任していたのは2000年度だった。それ以来,6年生の教材で授業をしていないだろう。模擬授業でも6年生用の教材を扱うことは少ない。模擬授業で6年生用の教材は難しいからである。しかし空知ゼミ例会のお蔭で6年生に授業することもできる。

本当に有難い。以下,第11回の授業記録である。

□柳谷直明の語彙指導 

「れる,られる。」を板書する。れる,られるを文末に使った一文をノートに書く。文なので「文/「〜が〜。」という形で書く。子供が書いた文に〇を付けた。「わたしがおどかされる。ぼくがおそわれる。先生がリンゴを食べられる。」などを子供が板書した。この中に一つだけ違う使い方をしているものがある。「先生がリンゴを食べられる。」自分がされるという使い方の他に,先生がされるという丁寧な言い方に使うこともある。他にも自分が自然におもったりする自発や,することができるという可能もある。プリントを配付するので,家でやってみて。次回答え合わせをする。これで10分間の授業だった。

□冨樫忠浩先生の修飾語指導 

「花子さんが男の子に会いました。」と書いた用紙を黒板に貼る。この文を詳しくすると言い,絵を見せる。子供たちの発言を板書していく。外国人の/アメリカ人の/ハローと言った/このような言葉を何と言うか。誰も言えなかった。指導されていないのか。修飾語と言う。今日は修飾語の学習だ。そして次の用紙を黒板に貼った。「古いケーキ屋さんのケーキ。」古いのは何か。ケーキ屋さんだと思う人。ケーキだと思う人。それぞれ分かれた。次の用紙を貼る。「リボンをした犬をつれたアンパンマン。」リボンをつけているのが犬かアンパンマンか。これもそれぞれ分かれた。「青い鳥かごの中の鳥と遊びました。」鳥が青いことがわかる文,鳥かごが青いことがわかる文をそれぞれ書く。鳥が青いことはがわかる文はすぐにできた。「鳥かごの中の青い鳥と遊びました。」である。鳥かごが青いということがはっきりとわかる文は難しい。子供はこう書いた。「青い鳥かごに入っている鳥と遊びました。」これでよいとした。冨樫先生の解は違った。「鳥と遊びました。青い鳥かごに入っていました。」文を短くするとはっきりする。わかりやすい。こうして授業が終わった。

□大谷和明先生の介入 

「青い鳥かごに入っている鳥と遊びました。」という子供の解は「青い」で切るとはっきりしない文なのでよくない。冨樫先生の解はずるい。そして2つの正解例を示した。一つは「青い鳥かご」というようにかぎを使う方法である。こうするとはっきりする。もう一つの方法はハリー・ポッターの日本語版にヒントがあるという。ここで私はわかった。しかし冨樫先生の授業のときには思い浮かばなかった。「青い鳥かご」の字体を変えるという方法である。私は字体が変わって,それが気になって読みづらい。(娘は愛読している。)このように2つの代案を示された。

□柳谷直明の説明文指導(私の板書をかぎにする。)

(1)文章構成指導

「説明文」を読む。そして書くという学習をする。題名から音読する,さんはい。題名と第一段落を音読させた。図書委員会の活動とは説明文の何か。これは学習用語を引き出す発問だが,いつもスムーズに答えてもらえない。よくない問い方である。テクストを抽象的な言語に変換させるよい言い方はないものか。図書委員会の活動というのがこの説明文の題名だ。こう言いながら「・題名」と板書するとよいだろう。題名の次に書いてあるものは何か。この発問はそのままでよいだろう。答えが出なければ教えるとよい。『人類よ、宇宙人になれ』という題名の下に何が書いてあったか。作者と言う子がいた。作者は物語のときに使う言い方だ。説明文では「・筆者」と言う。「・本文」という言葉を使ったが,これは使わなくてよい。なぜなら板書が多くなるからだ。書き出しのわたしたちは一ます空いている。なぜか。子供達は答えづらいようだったが,大人相手の模擬授業ならばすぐに解は出るだろう。段落である。最初の段落なので@と書く。次の段落を音読する,さんはい。いちばん大切な。やめ,いちばんの上にAと書く。第2段落だ。次の段落,さんはい。月一回の。やめ。何て書くの。B。書いたか。Cさんはい。これからも。そうだ。これで終わり。4つの段落からできている説明文だ。ここで文章構成と板書した方がよい。次のように板書したが,書きづらいかった。「・本文−段落1/−段落2なか/−段落3まとめ」である。すっきりと「文章構成/段落@はじめ/Aなか1/Bなか2/Cまとめ」と書こう。/そして4つの構成の役割を読ませた。しかし説明文例の次を音読させた方がよいだろう。DEと段落番号を書き進めている子がいた。したがってがんばりたい。の次の空いている行に線を書かせるとよいだろう。がんばりたい。までが説明文の例だ。みなさんのからは説明文の説明だ。

(2)リライト指導

この説明文が上手だと思う人は○。上手ではないと思う人は×をノートに書く。〇の人「〇6人」×の人「×12人」だ。〇の人はこの文章でよいという考えである。×の人に意見を聞いてみよう。どこが上手でないのか。私は×です。なぜならCは共通する性質と役割に書いてあるのにそうなっていないからです。このように一人の6年生が発言した。私が指導しようと考えていた所である。すごい。「C共通すること」何に共通するのか。AとBである。Aには何が書かれているのか。Aの1文目を音読する,さんはい。いちばん大切な仕事は、図書室の貸し出しだ。この文の中で重要な話題に〇を付ける。6文字である。「A本の貸し出し」だ。Bの1文目を音読する,さんはい。月一回の委員会活動の時には、まず、本だなの整理をする。この文の中で重要な話題に〇を付ける。6文字である。「B本だなの整理」だ。するとAとBをあわせてまとめでは「このように」を使って,こう書くとよい。このように図書委員会では本の貸し出しと本だなの整理を行っている。これは原稿用紙に書かせた方がよい。今回は書かせなかった。今日の授業は「リライト」である。『リライト』とは『元の文章を書き直して読みやすくすること』(広辞苑)である。文章をリライトする2つの方法を教える。一つは「・言葉を削る。」ことだ。@を音読する、さんはい。わたしたち図書委員会は、学校の図書室で活動を行っている。この文の中でいらない所を削る。どこにするかを決めていない人。全員に決めさせる。では,ぱっと手を挙げる。わたしたち−多数。図書委員会は−無し。学校の−数名。図書室で−1名。活動をー無し。行っている。−無し。そうだ,わたしたちと学校のはいらない。図書委員会は図書室で活動を行っている。はだけだと少し変な感じがするので,ではにする。更に予告の言葉を入れるとよりよいだろう。『次の2つの』を入れる。これで第1段落と第4段落をリライトした。次に第2段落をリライトする。Aを音読する,さんはい。〜。6文ある。○の数だと言っている子がいた。文を数えるということが指導されていない証拠だ。6分の中で,これは読みにくいという文を決める。なかなか決められないようだった。いちばんの文ー〇人。貸し出しはの文−〇人。一週間のの文ー数名。私はの文−1名。毎日のようにの文ー多数。わたしはの文も読みにくい。特に読みにくいのが,一週間のと毎日の2文だ。この2文がなぜ読みにくいのか。ここで考えさせたい。模擬授業ならば,解が出るだろう。昨日は出なかった。共通して使われているいらない言葉がある。「×いて、」だ。これを「〇いる。」にする。すると「・一文を短くする。」ことができる。「いる。」に変えてこの2文を読んでみよう。さっきより読みやすくなったと思う人。多数だった。説明文では題名や筆者名が書かれている。話題,問い,答えという学習用語も指導するか。問いと答えという用語を指導するならば,問いの文を書かせる必要がある。問いを書いていない説明文が教科書にどのくらいあるのかを調べるべきだ。その上で検討しよう。次の時間に説明文を書く。今日学習した「言葉を削る。」ことや「一文を短くする。」ことに気を付けて説明文を書こう。こうして終えた。

(3)修正

 2006年3月4日,大阪で行われる日本言語技術教育学会で扱う教材で初の授業を行った。大谷先生からもっと言葉を削ることを御指摘して戴いた。次回は大谷先生と私とで同一教材で授業を行う。久し振りの授業バトルである。有難い。

 私はリライト指導に絞る。授業の目的も見えてきた。「読みやすい文章を書こう」である。

 多くの日本人は自分の文章力に自信が無いと言う。それはどのような文が読みやすいかということが指導されていないからである。したがって作文指導の前に,どのような文章が読みやすいのかという文例を示す必要がある。読みやすい文を書くための技術指導を行う必要がある。それを3月の学会で提案しよう。これは提案性が高い授業である。

□大谷和明先生の下の句かるた指導 

北海道では下の句かるたを行っている。私も子供の頃,下の句かるたを行っていた。大谷先生は下の句かるたの複写を用意し,読み方を指導した。下の句かるたを数回行って楽しんだ。TOSSの五色百人一首に対応した指導である。参加者のほとんどが楽しんでいた。こうして授業記録を書くと,次の授業のネタが見える。