国語科学習指導案 焦点精査の鑑賞指導『おにたのぼうし』5

 2008年2月15日(金)3時間目,3年3組児童28名,指導者 柳谷直明

本時(5/5)の指導目標を具体的に把握する。[1]

(1)指導事項 

鑑賞の学習用語(伏線部「副詞,様子,心情」・山場「状況,願い,様子,中心事件,中心事件前後での登場人物の心情,様子の深層義,心情の深層義,先入観,無知,利他の深層義,共生,有償,無償,評価,善悪,主題,美,美徳,献身,自己犠牲,努力,感動,書き出し」/終末「状況,評価」)

(2) 指導事項を時間的な順序に配列する。

時配

学習活動

教師の働きかけ

備考

 

3分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分

 

 

 

5分

 

5分

 

5分

 

5分

5分

 

 

 

5分

1 鑑賞

75ページ2行目から2文を音読。

・どの言葉に丸を付けたか。

・なぜ,「にこっと」が重要か。

・様子の言葉から心情を読む。誰の心情が読めるか。

・女の子とおにたの心情を書く。

・「豆撒き,したいなあ。」だから,豆撒きしたいのが女の子の願いだ。○か×かを決める。理由も書く。

・おにたの心情が分かる様子の言葉に○を付ける。

・「ふるふる」の深層義を書く。

・なぜ,女の子の願いを叶えたのか。

・最後の人物評価をする。女の子やおにたの善悪。

・この作品の主題(価値)を一文で書く。

・おにたの献身を評価する。

 2「授業作文」

・向上的変容を自覚させる。

PISA型読解力を形成する。

 3 音読

 範読を聴き,音読する。

1 鑑賞

(1)伏線部

副詞から,女の子とおにたの心情を読ませる。

(2)山場

 @ 女の子の願いを読ませる。

 「豆撒き,したいなあ。」(事件)は表層義である。だから,浅い。女の子の願いは豆撒きをしたいのではなく,母親の病気の完治である。

A おにたの深層義を読ませる。

「ふるふる」の深層義から,おにたの心情が読める。次のような心情である。

・鬼が来たから病気が悪くなるとは限らない。

・先入観や無知への怒り。

B 利他の深層を読ませる。

 なぜ,女の子の願いを叶えたのか。次のような理由である。

 ・共生を諦めたから。

・無償を決めたから。

C 女の子,おにたの善悪を評価させる。

D 作品の価値を主題として書かせる。

おにたによる無償の利他の美。

E おにたの献身(中心事件)を評価させる。

 おにたの行動は×だ。なぜなら,自己犠牲は美徳では無いからである。自らの善を主張し,理解させる努力こそすべきである。

2 「授業作文」

本時での一番の感動を決めさせる。

書き出し例から,どれにするか決めさせる。

3 音読

場面5を範読する。そして,音読させる。

・自分の考えを『プランくん』に書く。

・他の人の意見は赤で書く。

・『プランくん』を鑑賞とまとめの「授業作文」の創作の両方で使わせる。

・読みでは,先にブランチ欄に書かせる。そしてラベル欄に学習用語(分類)を書かせる。

・「授業作文」は3分間で書かせる。

(3)授業の成否を判定するポイントや反省観点。

・山場で女の子の願い,おにたの心情を読ませ,作品に対する評価をさせたか。

・討論場面,「授業作文」場面で全員参加を保障し,自分の考えを表現させたか。



[1] 野口芳宏著「四 本時の展開法の研究」(「鍛える国語教室 教材研究のための教師向けワークの開発(下)」『教材開発48号』明治図書,1992年1月,72ページ)