国語科学習指導案 焦点精査の鑑賞指導『おにたのぼうし』3

2008年2月8日(金)3時間目,3年3組児童27名,指導者 柳谷直明

本時(3/5)の指導目標を具体的に把握する。[1]

(1)指導事項を列挙する。 鑑賞の学習用語(発端「場面状況『時,場所,登場人物/伏線部「主人公の人物像『人柄,行動,関係』/表層義・深層義」

(2) 指導事項を時間的な順序に配列する。

時配

学習活動

教師の働きかけ

備考

 

10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分

 

 

1 鑑賞

・物語の構成の始めを何と言ったか。(評価の発問)

・発端を読む。発端では,何を読むか。学習用語は何か。(評価の発問)

・時などを場面状況と言う。(学習用語指導)

・時,場所,登場人物を本文から書き抜く。(行為化の指示)

・なぜ,物置か。(ラベル欄に書く。)自分の解をブランチ欄に書く。

・発端の次を何と言ったか。(評価の発問)

・伏線部を読む。

・「伏線部」とは,「山場に起きる事件を先に暗示している所」だ。場面2ではなく,場面1の途中からにする。どこから伏線部か。線を引く。

・登場人物の人物像を読む。

 登場人物の人柄,その根拠,行動,相互関係,心情を読む。

・おにたの深層義を読む。

 「おかしい」→変だ。

 「いろいろある」→僕は悪くない。僕は善だ。

 2「授業作文」

・自らの変容,葛藤,深化を書き,学力を形成する。

・作文を発表し,称え合う。

1 鑑賞

(1)発端(始め〜69ページ5行目)

場面状況

 @ 時 節分の夜。「節分」とは,「立春・立夏・立秋・立夏の前日」である。特に立春の前日の夕方,柊の枝に鰯の頭を刺したものを戸口に立て,鬼打豆と称して炒った大豆をまく習慣がある。鬼やらいとも言う。

A 場所 まこと君の家,物置小屋

B 登場人物 まこと君,おにた。

(2)伏線部(69ページ6行目〜)

・場面状況

@ 時 節分の夜で,変わらない。

A 場所 外へと追いやられる

 B 登場人物 おにた,女の子登場。

・登場人物の人物像

@ 人柄 おにたの人柄は何か。その人柄の根拠がいくつか。3つとも短く書かせる。鬼の善,利他。

A 行動 とても,用心していた。恥ずかしがりやだから。

B 関係 「でも〜からです。」(69ページ)2文の中で大事な言葉は何か。なぜ「とても」なのか。先入観の悪,固定観念の悪。

C 心情 「おかしいな」の深層義。

2 「授業作文」

@ 題名には,二重鉤を使う。

A 常体で統一する。

B 一番の学びを決め,書き出しを工夫する。

・前時で扱えなかった「発端」「伏線部」から授業を始める。3時間目なので急ぐ。

・1時間目で「発端」を場面1と指導した。しかし,場面1の途中からに修正する。「主人公の人物像」は「山場」につながる「伏線」だからである。

・特に,おにたの深層義を読ませる。ここでの読みが授業では,主題読解のための伏線になる。

・学びの列挙だけでなく,自らの変容を書かせる。

・3分間で[授業作文]を書かせ,2分間で交流。

(3) 授業の成否を判定するポイントや反省観点はこれである。

・発端,伏線部を読ませ,『プランくん』にメモさせたか。

・「授業作文」で自分の考えを表現させたか。



[1] 野口芳宏著「四 本時の展開法の研究」(「鍛える国語教室 教材研究のための教師向けワークの開発(下)」『教材開発48号』明治図書,1992年1月,72ページ)