国語科学習指導案

『引用作文』

2212月7日(火)8時40分〜9時30分,8日(水)1320分〜1410分 

生徒 三笠市立三笠中学校1年生31名/ 授業者 柳谷直明 


1 形成学力 

(1)学習用語の行為化で言語技術を習得させ,各教科等で活用できる言語活動を身に付けさせる。

(2)自分の考えを深め,立場を明らかにして,主題や要旨がはっきり分かりように表現すること。

2 学習用語

(1)作文の学習用語 常体丁寧句切り符号かぎ句読点一文短く改行段落一字下げ書き

出し1分間で3行の速度接続助詞引用

(2)メモの学習用語 ラベル欄抽象的ブランチ欄具体的短く順番ナンバリング欄数字

構成

3 指導事項を時間的な順序に配列する。

 

時配

生徒の言語活動

教師の指導事項(網掛けが学習用語)

備考

0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15

 

 

 

 

 

 

 

30

 

 

 

 

 

 

 

40

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50

 

0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10

 

 

 

20

30

 

40

 

50

1時間目

0 学習意欲喚起

 

 

 

 

 

 

T 練習ページ(表)

1 作文音読

・教師と一緒に一斉音読する。

・適正な音読の速度を知る。

 

 

2 視写

・1分間で60字を目指して視写する。

3 メモ音読

・メモの書き方を知る。

 

 U 実行ページ(裏)

1 メモ

学習用語とその具体をメモする。

 

2 口頭作文

メモを文章化する。

進んで発表する。

 3 学習用語

3つの学習用語を学ぶ。

 4 作文記述

学習用語を意識し,3分間で12行を目指す。

V 本題

 1 引用

「小学生へ三中をPRしてほしい。そして,進学への希望を与えてほしい。」

 2 メモ記述

・問い,予告,よさ1,よ

さ2,よさ3,結論をラ

ベル欄に書く。

・上記の学習用語を具体化する。

 3 授業評価

 今日の授業を自己評価する。

 

 2時間目

 1 文種

 文学的文章では,作者と言い,段落は多め,起承転結や構成の工夫,描写,時制の変化,敬体も可等を学ぶ。説明的文章では,筆者と言い,段落は少なめ,構成は序本結,読み手に分かりやすい説明,時制の一致,常体等を学ぶ。

 2 文種選択

随筆,小説,詩,説明文,論説文から文種を選択する。

 3 口頭作文

4 学習用語習得

 5 作文記述

 6 作文評価

 7 自己評価

0 目的

 国際社会では,他者発言引用し,それに正対した発言が求められる。これから世界で活躍する皆さんには,是非,他者発言引用した文章を書いて貰いたい。

 今日は誰でも簡単に書ける教材を使う。 今日は作文練習。明日,小学生への中学校のPRを書いてほしい。2時間完結版の授業。

T 練習ページ(表)

1 作文音読

・『引用作文マスターカード1』(『作文力マスターカード 中学生』(野口芳宏監修/柳谷直明「鍛える国語教室」研究会 著,明治図書出版,2007年2月,6871ページ)を配る。

・四角一を音読させる。

2 視写

・四角五に視写させる。そして,評価させる。

3 メモ音読

・四角三を音読させる。

 U 実行ページ(裏)

1 メモ記述

引用問い立場根拠例示,結論の学習用語をラベル欄見出し欄)に書かせる。その具体ブランチ欄短く書かせる。

・「携帯電話を中学生は持つべきではない。」

引用させ,それに対してメモさせる。

2 口頭作文

個人→グループで発表させる。

数名に発表させ,評価する。

3 学習用語

文体句切り符号一文を短く等指導する。

4 作文記述

3分間で12行くらい書かせる。

V 本題

 1 引用を与える。「小学生へ三中をPRしてほしい。そして,進学への希望を与えてほしい。」

 2 メモ記述

・『プランくん』を配付する。

問い予告よさ1よさ2よさ3結論ラベル欄に書かせ,その具体ブランチ欄メモさせる。

メモが進まない生徒には,三中の面白さをメモさせる。

よさ面白さを書けない生徒には,別話題

メモを渡し,そこから選択させ,書かせる。

 3 授業評価

 今日の授業を自己評価させる。

 

 1 文種

 文学的文章説明的文章での違いを作者筆者段落の多さ,構成起承転結序本結),描写説明時制文体等で指導する。

 2 文種選択

文学的文章として,随筆小説選択させたり,説明的文章として,説明文論説文選択させたりする。

 3 口頭作文

数名に発表させ,評価する。

4 学習用語

常体句切り符号一文を短く等指導する。

 5 作文記述

10分間で600を目指させる。

下書きとして,早くたくさん書かせる。

 6 作文評価

学習用語の適正な使用を称賛させる。

・聞いていてよく分からなかった点は質問

せる。

・短い時間で書いた作文なので,批判しない。

 7 自己評価

・時間厳守。

 

・作文に自信があるかを評価する。

・書いた作文の公開は本人の意思に任せる。公開しなくてもよしとする。

・自作の『マスターカード』を使う。

・初めての教材なので,いちいち読ませないでどんどん飛ばして扱う。

・ここでの引用は次にして書かせる。「携帯電話を中学生は持つべきではない」

・自己評価で点数をつけさせる。

・メモには多くの時間を使わせない。メモは書けなくてもよい。

・メモから文にさせる際,注意させる。

・学校行事,部活,授業の魅力,友達関係等から良さを探させる。

・この話題で書き難そうな生徒には,別話題メモを渡し,そこから引用させる。

・簡単に評価を書かせる。

 

・文種紹介プリントを配付する。

・引用を用いた論説文で書かせたい。しかし,他の文種で書きたい生徒がいれば,それもよしとする。

・書きだし例を知らせる。

・書いた作文で学習用語の行為化を評価。

・持ち帰らせて,家庭で清書させる。

・特に,教材の効果を評価させたい。

 

4 授業の評価

(1)学習用語を行為化で言語技術を習得させ,各教科等で活用できる作文を身に付けさせたか。

(2)自分の考えを深め,立場を明らかにして,主題や要旨がはっきり分かりように表現させたか。

別話題メモ

A 学力を向上させるため,土曜日も登校日にして勉強した方がよい。

 B コンビニはなくてよい。なぜなら,便利だと人間は堕落するからである。

 C 二酸化炭素を減らすため,車を減らすべきだ。

 D お菓子をなくすべきだ。なぜなら,太って体に良くないからだ。

 

文種紹介

T 文学的文章例

 

1 随筆

 見聞・経験・感想などを気の向くままに記した文章。(広辞苑第5版)

 2 小説

 作者の想像力によって構想し,または事実を脚色する叙事文学。(同上)

 「脚色」とは,「比喩的に,事実を誇張したりして面白く語ること」である。(同上)

 3 詩

 風景・人事など一切の事物について起った感興や想像などを一種のリズムをもつ形式によって叙述したもの。(同上)

 

 U 説明的文章例

 1 説明文

 事柄を説明する文。論理的に言葉を連ね,内容の正確な伝達を目指す文。(同上)

 「論理的」とは,「論理の法則にかなっていること」である。(同上)

 「論理」とは,「思考の法則的なつながり」である。(同上)

 2 論説文

 事物の理非を論じたり説明したりすること。(同上)

 「理非」とは,「道理にかなっていることとはずれていること」である。(同上)

 3 記事文

 事実の記述を主とする文章。(同上)

4 授業作文

今日の授業を振り返り,家庭で学びを書く文章。どの教科であっても,今日の学びを短時間でまとめると,学びの定着が高くなる効果的な家庭学習である。

 

「授業作文」の書き出し例(柳谷オリジナル)

 

一 「日時,場」から書き出す。

 

一月三十日(火)の教室である。『アレクサンダとぜんまいねずみ』の授業が始まった。

 

 二 人物とその行動から書き出す。

 

柳谷先生がおっしゃった。

「題名から音読,始め。」

 *会話文はこのように書かせた方がよい。会話文とその前の文を分けさせる。

 

三 学習用語から書き出す。

 

「緩急」

 柳谷先生が黒板に書かれた。これが今日学んだ最初の学習用語である。以前から習っていた。しかし,忘れていた。「緩」は「ゆっくり読むこと」である。「急」は「速く読むこと」である。

 

 四 会話文から書き出す。

 

「姿勢を正して,礼。」

 挨拶をした。そして,授業が始まった。

 

 五 評価から書き出す。

 

私は今日,よくがんばった。なぜなら,次の五つの学習用語を学び,覚えたからだ。

 一 緩急

 「緩急」とは「緩することと速くすること」である。

 

 六 向上的変容から書き出す。

 

「『アレクサンダとぜんまいねずみ』。」

 題名を音読した。しかし,上手に読めない。なぜなら,最後の「み」を強く読んでしまうからだ。先生に何度もこう指導された。

「最後の『み』を強めない。」

 そこで「み」を他の言葉と同じ強さで読もうと心がけた。すると,先生がおっしゃった。

「よし。上手になった。」

 このように,題名の音読が今日一つ目の向上的変容である。

 

 七 成長から書き出す。

 

この時間の私の成長は何か。私の成長は次の五つだ。

 一 緩急

 上手に音読する技術を学んだ。その一つ目が「緩急」である。私は村君の音読が上手だと思った。だから,○を付けた。しかし,あやちゃんは×を付けた。わたしは驚いた。あやちゃんが言った。

「村君の音読は×です。なぜなら,最初の会話文をゆっくり読んでいたからです。」

 

 八 オノマトペから書き出す。

 

ガラガラ。

 教室の戸が開かれた。先生がいらっしゃった。りゅう君が号令をかけた。

「姿勢を正して,礼。」

 柳谷先生がおっしゃった。

「題名から音読。」

 

 * 他にも書き出し例はある。まずはこのくらいを紹介する。