新学習指導要領の情報

小学校では,新学習指導要領が3年後に完全実施される。するとこの子達は中学生になっている。ところがこの子達が中学生になっても教科書は新しくならない。中学校の完全実施は平成24年,2012年だからである。したがって,中学2年生になって,初めて新しい内容で書かれた教科書を手にする。するとそれまでの4年間は現行の授業時数で,現行の教科書を使いながら,新しい内容も更に学ぶ。そこで移行措置の2年間は次のようになるだろう。

 

小4は小4の教科内容のまま。

小5・6年に小3,4の内容の不足分+小5・6の追加内容もその学年で扱う。

中1で中1の追加内容を学習する。

中2から新しい教科書で追加内容とともに学習できる。

 

各教科等で追加内容を指導する必要がある。特に,算数や理科での追加内容をきちんと指導しないと後々困らせる。理数教科の主な新規学習項目国語はそれほど大きく変わらない。しかし,今まで私が言ってきた言語活動(スピーチや作文など)を通して授業するという授業方法が重視された。それは,国語科だけでなく,各教科等でそのように行う。

 「授業作文」のような言語活動を国語だけでなく,各教科等ですると,その教科での学びが頭に定着する。テスト前はもちろん,普段から「授業作文」を各教科分書けばよい。

上記の表は『理数教科の主な新規学習項目』毎日新聞,2008216日(東京朝刊)からの引用である。

以下,文部科学省の資料を使って作成した。『新学習指導要領』算数科(2008年2月)での新しい内容である。

 

 「新規の内容」は四角枠,「スパイラルのため学年間で重複させる内容」は下線,「学年間などで移行させる内容」は(   )づけ,「算数的活動(知識・技能の活用等の学習活動)」は,ア,イなどで示した。

 

 『新学習指導要領』算数科(2008年2月)での新しい内容

 

1年 次の「算数的活動」を通して指導する。 

ア 具体物を数える活動,イ 計算の仕方を説明する活動,ウ 量の大きさを比べる活動,エ 形を作る活動,オ 場面を式に表す活動

 

A 簡単な3位数など,簡単な2位数の加・減

B 面積,体積の大きさの直接比較,時刻の読み方(小2から移行)

C 身の回りにあるものの形(平面図形,立体図形)の観察や構成 

D 式による表現/加法や減法の場面を式に表す(「A数と計算」から移行),絵や図を用いた数量の表現

 

2年 次の「算数的活動」を通して指導する。

ア 整数が使われる場面を見付ける活動,イ 乗法九九表からきまりを見付ける活動,ウ 量の大きさの見当を付ける活動,エ 長方形などを作る活動,オ 式や図に表し説明する活動

 

A 1万簡単な分数(1/21/4など)など簡単な3位数の加・減など簡単な2位数の乗法(1位数×2位数)

B 体積の単位(ml,dl,l)(小3から移行),時間の単位(日,時,分)(小3から移行)

C 正方形,長方形,直角三角形(小3から移行),箱の形(小3から移行)

D 式による表現/加法と減法の相互関係(「A数と計算」から移行),乗法の場面を式に表す(「A数と計算」から移行),簡単な表やグラフ(「A数と計算」から移行)

 

3年 次の「算数的活動」を通して指導する。

ア 計算の仕方を説明する活動イ, 小数や分数の大きさを比べる活動,ウ 単位の関係を調べる活動,エ 正三角形などを作図する活動,オ 資料を表を用いて表す活動

 

A 1億など 4位数の加・減など,2位数や3位数の乗法(3位数×2位数など)など,1位数による簡単な除法(商が1位数や2位数)など,小数(小4から移行)/小数の意味と表し方,小数(1/10の位)の加・減,分数/(小4,小5から移行),分数の意味と表し方,簡単な分数(同分母の真分数)の加・減

 

B 長さ(km)や重さの単位(g,kg,t)

C 二等辺三角形,正三角形(小4から移行),角(小4から移行),円,球(小4から移行)

D 式による表現/除法の場面を式に表す(「A数と計算」から移行),式と図の関連付け,□などを用いた式など 

 

4年 次の「算数的活動」を通して指導する。

ア 計算の見積りをし判断する活動,イ 面積の求め方を説明する活動,ウ 面積を実測する活動,エ ひし形などを敷き詰める活動,オ 身の回りの数量の関係を調べる活動

 

A 四則計算の見積り(小5,6から移行),整数の四則計算の定着と活用,小数の加・減(1/101/100の位など),小数の乗・除 (小数×整数,小数÷整数)(小5から移行),分数の計算,同分母分数(真分数,仮分数)の加・減など(小5から移行),そろばん ・加・減

B 面積の単位(cm2m2km2,a,ha)と測定

C 直線の平行や垂直の関係(小5から移行),平行四辺形,ひし形,台形(小5から移行),立方体,直方体(小6から移行),ものの位置の表し方(平面や空間の位置の表し方)

D □,△などを用いた式,四則計算の性質(小5から移行)

 

5年 次の「算数的活動」を通して指導する。

ア 計算の仕方を説明する活動,イ 面積の求め方を説明する活動,ウ 合同な図形をかく活動,エ 図形の性質を説明する活動,オ 目的に応じて表やグラフを選び活用する活動

 

A 約数と倍数(小6から移行),素数,小数の乗・除(1/101/100の位など),異分母分数(真分数,仮分数)の加・減など(小6から移行),分数の乗・除(分数×整数,分数÷整数)

B ひし形,台形の面積の求め方,体積(小6から移行)/体積の単位(cm3m3)と測定,立方体,直方体の体積の求め方,測定値の平均,単位量当たりの大きさ(人口密度など)(小6から移行)

C 多角形(正多角形を含む),図形の合同(中学校から一部移行)・角柱,円柱(小6から移行)

D 簡単な比例の関係

 

6年 次の「算数的活動」を通して指導する。

ア 計算の仕方を説明する活動,イ 単位の関係を調べる活動,ウ 縮図などを見付ける活動,エ 比例の関係をもとに問題を解決する活動

 

A 分数の乗・除(分数・小数の混合計算など),小数や分数の四則計算の定着と活用

B 面積(小5から移行)/円の面積の求め方,角柱,円柱の体積の求め方(中学校から移行),メートル法の単位の仕組み

C 拡大図と縮図(中学校から移行),対称な図形(線対称,点対称)(中学校から移行)

D 反比例(中学校から一部移行),文字を用いた式(a,xなど)(中学校から一部移行),度数分布,起こり得る場合の数(中学校から移行)

 

 メモ