国語科学習指導案 焦点精査の鑑賞指導『おにたのぼうし』2

2008年2月6日(水)2時間目,3年3組児童27名,指導者 柳谷直明

本時(2/5)の指導目標を具体的に把握する。[1]

(1)指導事項 鑑賞の学習用語(評価,題名,発端「場面状況『時,場所,登場人物/伏線部「主人公の人物像『人柄,行動,関係』/表層義・深層義」

(2) 指導事項を時間的な順序に配列する。

時配

学習活動

教師の働きかけ

備考

 

15

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3分

 

 

1 鑑賞

・題名から音読。

・主人公の評価発表。

善,悪,同情などの読みの多様性を知る。

・問いを持つ。

問いを持ちながら読み進める。

・例えばなぜ,「おにたのぼうし」か。「おにた」でよいではないか。「おにた」でよい。○か×か。

討論する。「ぼうし」の深層義,悲哀,偽り,悲劇を読む。

・発端を読む。何を読むか。学習用語は何か。

場面状況を読む。時,場所,登場人物。

・伏線部を読む。場面1の途中から始まる。何を読むか。

 主人公の人柄,その根拠,行動,人間との関係を読む。

・おにたの深層義を読む。

 「おかしい」→変だ。

 「いろいろある」→僕は悪くない。善だ。

 2「授業作文」

・自らの変容,葛藤,深化を書き,学力を形成する。

1 鑑賞

(1)人物・作品評価

 主人公や作品に対する学習前の評価を持たせる。そして,評価の多様性を自覚させる。その変容,葛藤,深化が向上的変容である。

(2)題名

 なぜ,「ぼうし」なのか。題名,「おにたのぼうし」の表層義と深層義を読ませる。

(3)発端(始め〜69ページ5行目)

場面状況

 @ 時 節分の夜。「節分」とは,「立春・立夏・立秋・立夏の前日」である。特に立春の前日の夕方,柊の枝に鰯の頭を刺したものを戸口に立て,鬼打豆と称して炒った大豆をまく習慣がある。鬼やらい(追儺,なやらい)とも言う。

A 場所

B 登場人物

(4)伏線部(69ページ6行目〜)

・主人公の人物像

@ 人柄

おにたの人柄は何か。その人柄の根拠がいくつ書かれているか。3つとも短く書かせる。鬼の善,利他。

A 行動

B 関係

「でも〜からです。」(69ページ)2文の中で大事な言葉は何か。なぜ「とても」なのか。

先入観の悪,固定観念の悪。

2 「授業作文」

自らの問いに対する答えもほしい。なぜ,いなくなったのか。どこへ行ったのかなど。

・前時で扱えなかった「評価発表」「題名の深層読み」「発端」「伏線部」を読ませる。

・作者の含意を推測させる。

・1時間目で「発端」を場面1と指導した。しかし,場面1の途中からに修正する。「主人公の人物像」は「山場」につながる「伏線」だからである。

・特に,おにたの深層義を読ませる。ここでの読みが授業では,主題読解のための伏線になる。

・学びの列挙だけでなく,自らの変容を書かせる。

・2分間で作文交流させる。

(3) 授業の成否を判定するポイントや反省観点。

・人物・作品評価,題名,発端,伏線部を読ませ,『プランくん』にメモさせたか。

・「授業作文」で自分の考えを表現させたか。



[1] 野口芳宏著「四 本時の展開法の研究」(「鍛える国語教室 教材研究のための教師向けワークの開発(下)」『教材開発48号』明治図書,1992年1月,72ページ)