岩見沢市立美園小学校3年3組学級通信
輝き! 7,2008年4月12日(木)柳谷直明発行
1 教師自らが,向上的変容を目指す
今年度の私の向上的変容は何か。一番意識しているのは時間である。ゆったりさせる授業を目指す。これまでも殆どの授業は時間で始まり,時間で終わっている。授業時間が伸びないように毎時間努力している。そのために,やや端折る場面がある。つまり,子どもを急かしている。この克服を今年度の私の向上的変容として目指す。
子どもにゆったりさせるために,私は頭の中をフル回転させる。授業の次の展開を常に考えている。今話している言葉と共に,授業の展開を上のレベルで考えている。人間の脳は,一度にいくつもの情報を処理できる。メタ思考である。
漢字を覚えるのに時間がかかる子がいる。さっさとさせたい。しかし,急かしてもだめである。そこで,待つか飛ばさせるかの判断が必要になる。例えば『漢字マスターカード』では,掌書きと空書きで覚えさせる。その後初めて鉛筆を持たせ,漢字を3つ書かせる。しかし,他の子がどんどん進んでいる場合には,漢字を書かせずに先に進めさせる。飛ばさせる。時間調整である。このような判断を漢字指導しながら行う。
発問も今年は少し変える。次の作業を発問に加えたい。
ゆっくりしている子を待つ。しかし,待たされている素早い子も伸ばしたい。そこで素早い子には別課題を与える。できれば,素早い子のために次の課題と併せて今の課題を与える。
教科書7ページ,星1。(これだけで子どもは音読する。)答えを教科書に書いて,持って来る。(これまではここで終わっている。更にこう加えたい。)丸を貰った子はノートにかけ算九九を書いて練習している。始め。
こうすると,子どもが作業しているときに追加の指示を出さなくてよくなる。作業しているときに話し掛けられるのは,私は大嫌いである。したがって,子どもも嫌いな筈だ。教師が話をしている間,子どもの思考は止まっていると考えて間違いないだろう。
きちんと話を聞けている子の脳は,教師の話の速度に付いていきフル回転しているだろ。しかし,そんな子は稀である。多くの子は,教師の話の再生を脳の中で出来ないでいる。つまり,脳を動かさない状態を続けさせている。子どもの脳にとって害とも言える指導である。
以前私の教え子で,5年生なのに2年生の漢字を書けない子がいた。その子は,1時間の授業で,黒板に書いた私の言葉を1つも再生できなかった。つまり,1時間の授業の中で,新しい言葉を1つも記銘できなかったのだ。この子は数年間,毎時間の授業で先生や友達の話から言葉を認知できないできたのだろう。言葉を聞き流すという学習をしてしまったのだと私は推測した。
これは極端な例だが,教師が話ばかりをしているとこのような子を育てる可能性がある。私が尊敬している千葉大学名誉教授の宇佐美寛先生は大学の授業で講義を止めよと主張されていらっしゃる。ましてや小・中学校で先生ばかりが話をしているのでは話にならない。
余計な話をするというのは私の授業では有り得ない。今年度は更に,子どもにゆったりさせる,発問を変えるという向上的変容に挑む。
2 子どもに必要な授業を行う
3組は算数がやや遅れている。かけ算九九を正しくマスターしていない子がいたからである。しかし,遅れたってかまわない。なぜなら,子どもにとって必要だからである。子どもは教科書の進み具合をよく気にする。何組は進んでいる。しかし,そんなことはどうでもよい。必要ならば,復習時間を十分に取りたい。それでも身に付けさせられなかったら,仕方なく前へ進む。前へ進みながら,復習も少しずつさせる。
教科書を教えるだけの授業は,私の子どもの頃の授業である。今時,そんな授業はないだろう。多くの教師は教えてから,出来るようになるまで復習させる。しかし,毎時間の授業で復習できるわけではない。そこで,家庭学習も必要になる。家庭学習で記銘させる。そして,次の日の復習で保持させる。家庭学習での記銘,授業の復習での保持の繰り返しで,テストで再生できる。つまり,家庭学習と授業での復習が必要である。(自学ノートを1冊,用意させて下さい。毎日2ページを自学させます。今日の保護者会で,自学を説明します。)
教科書があるから教えるのではない。必要だから教える。国語では,他の出版社の教科書や私が書いた『確かな国語学力(基礎・基本)を育てるマスターカード』『作文力マスターカード』『漢字マスターカード』を使う。そして,国語学力を向上させる。
来週,読解力テスト,2年生までの漢字テスト,2年生までの算数テストを実施する。作文を書く速さのテストを実施した。10分間で10行を書けなかった子は5名(20パーセント)だった。かけ算九九だけでなく,市販テストや表現活動を通して,子どもの実態を把握する。そして子どもの躓きを診断し,指導する。この授業は,この指導はこの子達の実態にとって必要なのかを問い続け,授業を組み立てる。
3 全員の向上的変容をこう保障する
子どものノートや教科書の丸付けをするのは,当たり前である。これで全員の向上的変容を保障できる。教師が丸を付けなくてもよい。子ども同士でも,全員が丸になれば全員の向上的変容の保障である。
ノートに自分の考えを書かせる。これも全員の向上的変容の保障である。「なぜ,(日陰は)涼しいのか。」この問いに対する自分の答えを書かせた。ところが書けない子がいた。そこで書いた子から,温度計を持たせて,温度調べへ行かせた。書けない子は5分たっても書けない。みんないなくなりそうになったので,ヒントを与えて何とか書かせた。強制の指導だ。
何でもよいから書かせる。そこから学習が始まる。その5分くらいの間に,ノート1枚に自分の考えを書き続けていた子もいる。こんなに学力差が付いている。
これも3年3組の実態である。ここで,書けないから書かせないのでは,ますます差が開く。書けない子がいるという実態だからこそ,どんどん書かせる。自分の考えを書かせるのは,全員の向上的変容を保障する有効な方法である。柳谷学級は誰でも書けるようにする。
4 眠そうだ
新学期は子どもも教師も大忙しだ。そんな関係か,1時間目から欠伸をして,眠そうな子がいる。何時に寝ているのかな。ゲームの時間を決めさせているだろうか。(テレビの視聴と合わせて,2時間を超えると,頭の回転が悪くなるようです。)朝食をきちんと食べているかな。御飯と味噌汁が頭によいと言われている。(3時間目からお腹空いたと言っている子がいる。)家庭学習をしているか。子どもの生活習慣が子どもの学力に影響を与える。
子どもの学力を伸ばすために,生活習慣も正す必要がある。