『おぼえていろよ　おおきな木』の指導案

国語科学習指導案

『おぼえていろよ大きな木』（佐野洋子作，講談社，1992年）の読解指導

2007年５月２日（水）11時30分～12時15分，別海町立野付小学校１年生教室

児童　別海町立野付小学校１年生14名，授業者　柳谷直明

本時（１／１）の指導事項を具体的に把握する。[1]

（１）指導事項――次の学習用語を指導し，行為化させる。――

言語活動１　音読

音読を適正にするための学習用語。①大小，②緩急，③強弱。

言語活動２　鑑賞

鑑賞を適正にするための学習用語。①場面「時，場所，人物」②問う言葉「いつか。どこか。誰か。」③事件「木を切ったこと（展開），自らの悪に気づいたこと（結末）」④心「腹立たしい，忌々しい，苦々しい，怒り，寂しい，悲しい，善悪，成長」⑤論破「反対，なぜなら―だから」⑥主題「悪い心だったと気づいたおじさんの善い心への成長」

（２）　指導事項の配列

時配

子どもの言語活動

教師の指導事項（太字が学習用語）

備考

15分

30分

１　音読

・１つの方法を学ぶと知る。先生によって違うことも知る。

・見えない心も分かると知る。

・物語では，見えない心を読むのが楽しさだと知る。

・「おぼえていろよ。」を急，強で読むと知る。

・題名は大，作者名は小で読むと知る。

２　鑑賞

・おじさんが木に対して，腹立たしく思っていた理由を知る。

・自分もおじさんのように嫌になるだろうと想像する。

・だから，木を切って善かったと考える。

・泣いた理由を考える。

・木を切ったのは悪い心だったと気づいたと知る。

・善で言葉を使うと学ぶ。

１　音読

人間は，大きく２つに分かれる。体と心。見えるのは体，見えないのは心。

心は見えない。だから，人の心は分からない。○／　心は見えない。でも，見える体から少しは分かる。×

「かたを　すくめました。」

「けとばしながら　いいました。」

腹立たしい，いまいましい，苦々しいという心が分かる。おじさんは怒っている。

見えない心を読むのが物語の楽しさ。

緩急の急，強弱の強で読む。

題名と作者名で大小を指導する。

２　鑑賞

「ねむって　いられません」

「ことりのふん」

「パリッと　かわきません。」

「なんびきも　けむしが」

「あかいみを　ぬすみに」

「はっぱが　おちました。」

「ゆきが　ドタッと」

これだけの嫌なことが起きた。だから，木を切るという事件が起きた。切って善かったよ。○か×かを問う。

論破を指導する。「～に反対です。なぜなら―だからです。」そして読みを深めさせる。

・時間厳守。

・導入不要。

・「おぼえていろよ」は「おぼえ」（動詞連用形），「て」（接続助詞），「いろ」（動詞命令形），「よ」（終助詞）で，出来ている。

・場面「時，場所，人物」も指導する。時はいつか。場所はどこか。主人公は誰か。ノートに書かせる。

・善悪，成長，主題を指導する。

・論破の定型を指導し，反論させる。

・授業を評価させる。

（３）指導評価　学習用語を行為化した音読をさせたか。鑑賞させるために読みを深めさせたか。

[1] 　野口芳宏著「四　本時の展開法の研究」(「鍛える国語教室　教材研究のための教師向けワークの開発（下）」『教材開発48号』明治図書，1992年１月，72ページ)